その1)アメリカのどこかの街にいた。一緒に来ていたらしい両親とはぐれてしまったようだった。

俺は父(故)が乗っていたらしい車の助手席にいた(なぜか右ハンドル)。埒があかないので、その席のまま運転してみることにした。元々免許はないし、当然ながらどうにもうまくコントロールできず危なっかしい。いくらか走ったところで、もう事故りそうなので適当なところで止めて車を降りた。

そこは、かつてはビルなどがあった感じの未再開発の地区のようだった。空き地に立つとすぐ人を見かけた。その若い女Aはどう見てもそうだと思い、俺は「日本人の方ですか?」と訊いた。Aは「そうです」といった。

俺は自分がどこにいるのかわからなくなったと説明した。Aについていくと、仮設らしき大きな浴槽(温泉かどうかは不明)があり、十数人の若い女や少女たちがしゃべりながら、着衣のまま脚から半身ぐらい浸かっているのを見かけた。

Aはここをニューオリンズだといった。年上のアメリカ人の女Bが(日本語で)「環境派の街に来たということね」といった。俺がさっきいた場所は『体制派』(おそらく主流勢)の領域らしく、その境界を越えてきたようだった。

別の女が「(その街にいたとき)いきなり背中からナイフで刺された」という話をした。

環境派の街は安全のようだ。両親はまだ体制派の街にいるようで、またそこへ行くのは危険に思えた。ケータイ(古い洋物のガラケーだった気がする)で連絡がとれないか考えていた気がする。

 

【洞察】

1.「体制派」というのは、現代社会を牛耳っている資本・経済第一主義の勢力のことと思われる。

2.「環境派」は「自然環境保護を目指している」あるいは「現環境の維持(いたずらに資源を消費してものを作ったりしない)を目的とする」もしくは「現代の劣悪な社会環境を改革・整備する」といった勢力のことかもしれない。そこには女しかいないというのも特徴的に思える。

3a.アメリカという風土は、その2つの勢力の対立が色濃い(日本は島社会で事なかれ主義なので対立が表面化しづらい?)ために選ばれたのか。

3b.「ニューオリンズ→ジャズ→黒人」という連想が成り立つ。つまり環境派は、体制派(白人・経済・資本)の対抗勢力(貧民・新しい社会主義→冷戦時代のそれとは異なる)を指しているのかもしれない。

4.体制派に刺されたエピソードや危険が多い話から、つまるところ「金儲けや稼ぐことを目指してもロクなことにならない」といいたいのか。「自己」は体制派の領域を脱して環境派の街に到達しており、その勢力にすでに属している(あるいはこれからそうなるという予見)ということなのか。

5.両親(左脳や右脳の主要な側面や能力と思われる)はまだ体制派(つまり金銭)の街から脱していないため、不安やジレンマが起きているということなのか。

 


 

その2)海外っぽいある山に登っていた。両親とは別のルートをとっていた気がするが、よく覚えていない。

登っていくと、斜面が急で道が狭い、剥き出しの岩場があった。そこを登るのはなかなか大変そうに思えたが、上の方からある家族連れの子供が降りてきていた。小学生くらいの少年が山道の狭いところにいて邪魔になっている。

とりあえず俺はそこまで登ったが、足場がほとんどない。ふとふり返ると(登ってきたときと違って?)ものすごい高さの崖になっていた。落ちたら死ぬという恐怖に包まれた。子供がどいてくれるまで、とにかく落ちないように岩にしがみついた。

ふと気づくと、板でできたつぶれた六角柱のようなものを抱きしめていた。辺りはビジターセンターのようなフロアだった。途中から幻覚を見ていたんだと思い、急に恥ずかしくなってその台から飛び降りた。

欧米美人のスタッフCがやってきた。Cはちょっと笑っている。俺は低酸素症だったのではと思い「Low Oxygen ?」と訊いた。案外ネイティブみたいな発音で、一瞬自分で微かに驚く。Cは笑顔で肯定した気がするが、よく覚えていない。Cは(回復のためか?)俺をどこかへ連れていこうとしていた。

 

【洞察】

1.自分が崖から落ちそうな危ない状況にある(おそらく経済的に)という感覚は幻覚にすぎない、ということなのか。

2.頭を使いすぎている、あるいは心身が落ち着かず呼吸が浅い(?)ために(魂や精神的な?)低酸素症に陥っており、そのような幻覚や思い込みに苛まれているということなのか。

3.危険と思っていた場所(現状)は、実はビジターセンターのような安全・休息・情報などを得るところだった......つまり今はまだ、休息や情報を得る期間であるということなのか。

 


 

その3)見知らぬ街で見知らぬマンションに向かった。そこの一室にある会社でバイトの面接があるようだった。

中に入ると、1階フロアはほとんどつながっていて、食堂などの営業・販売スペースになっていた。この階は全体的に濃い色の板張りで、和風で老舗の感じがしていた。ここはかなり古い建物のようで、粗く掘った部分も多く「強いていうなら洞窟?」と独りごとを口にした。

各店は土足では入れないようで、俺は膝で奥へ進んだりした。上の階へ行きたいのだが方法がわからない。

奥の店の女将Dがやってきて「(他の店もそうだが)勝手に入ってはいけません」といった。俺は「どうしても2階に行きたいんですけど。そこで会社の面接があるんで」といった。Dは「ああー、そういうこと!」といって手を打った。Dはそこへのルートを教えてくれそうだった。

2階には様々な会社が入っているようだが、どれも小さいようで、不況とか何かあったらすぐ潰れそうだけど大丈夫かなと思った。

 

【洞察】

1.これからやりそうなバイトを予見・暗示している可能性はあるが、よくわからない。

2.1階は食うための(古くからある?)仕事、2階は本職、みたいな話であろうか。しかし1階の店に勝手に入ることは禁じられている。つまり食うためにバイトをやることはまだ考えるなと、いう示唆にも見える。

 


 

その4)旅か何かで見知らぬ街にいた。そこは大きな街の外れの方だったか、古い建物ばかり並んでいた。

俺はある神社からもらってきたある物(交換用の仮の品物)を、目的の物Xに換えてもらうため、ある店の前に立った。土産物屋か菓子屋かよくわからないが、かなり古そうな店。

庇から垂れ下がる大きな白い幕の中に入ると、中年の店長らしき男Eと、完全に白髪のバイトらしき爺さんFがいた。風のせいなのか見えざる力なのか(後者のような気がする)幕に背中をぐいぐい押され、もっと中に入るよう暗に促された。

俺はXをもらうため、Eに白い紙箱に入った物(掌より少し大きい)を渡した。Eは笑顔で受け取ると、Xを取りに奥に消えた。

Fは話し好きのようで、自分のことを次々としゃべり始めた。彼は自分で映画を撮影することが好きなようで「それだけはちゃんとやって、あとはここで働くんだ」みたいな話をしていた。

 

【洞察】

1.「神社からもらった白い箱」「老舗の白い幕」「完全に白髪の爺さん」ということから、目的の品Xは、神懸りなこと(自分個人ではなく神々の意志的な?)のように思われる。そのXが何なのかは、まだよくわからない。

2.Fの「映画撮影」はライフワークのことであろう。自分の話に照らしてみると、小説の執筆にあたる気もするが。それでは食えないので、結局はバイトをしなければならないということなのか。

3.老舗のそのバイトが、本当に巷のバイトを指すのか、別の何かの事業(店主Eは神社に託された神物を持っていることから、神の事業?)にあたるのか、それが問題である。