切り立った岩山の峡谷で子供たちが野球で遊んでいた。なにしろ平らな部分がほとんどないので、子供らは普通の野球をするのは難しいようだった。

あるとき、ある少年が岩山の上から向かいの台地(?)までボールを遠投した。かなり飛んだことに、俺の前にいた俺の知人らしき若い男Aは感心したようで、その様子を見に落差数十メートルはある崖を飛び降りた。

俺はほんの一瞬、彼に続こうかという考えがよぎったが、俺の場合、大ケガするのは明白でひどい恐怖にかられ「行かない行かない、絶対行かない」と念じるようにいってその場にしがみついた。